読み解く力とGIGAスクール構想

【多くの子は、算数の問題そのものでなく「質問の意味」を理解していない】
昨年末発売されたプレジデントファミリー<2021年冬号>「読解力」は家で伸びる!という特集で、板橋区の『読み解く力の向上』についての記事がありました。
読解力が低下している現状と課題、そして区のICT教育の取り組みとの連携を説明します。

https://www.president.co.jp/family/

今年の2月から板橋区の全区立小・中学校へ、一人一台の学習用タブレットが配られます。国のGIGAスクール構想にもとづき、ICT教育を充実させる目的が新型コロナウイルスによる在宅学習の強化と相まり、一気に加速したものです。
しかし、タブレットがあるから学力が伸びる、そんなことはありません。もっと根深い問題、『読解力』があります。

板橋区の公教育「フィードバック学習」から「読み解く力」へ

中学1年生が数学の授業で分からない問題があるとき、その原因は中学数学でなくて小学4年生の算数の一つにあった、なんてことがあるそうです。
これを板橋区では『フィードバック学習方式』という解決方法で、いわゆる復習のやり方に手法をこらし、遅れのある子どもたちの学習をサポートしてきました。

新型コロナの蔓延をきっかけにして、児童・生徒にタブレット学習などを取り入れる教育ICT『GIGAスクール構想』が日本全国で一斉に前倒しで始まっています。
板橋区でも前述のように今月中には全校に行き渡ります。
偶然にも私の息子が通っている学校が先行配布となり、3ヶ月ほど早くICT教育とGIGAスクールの家庭学習の実状に触れることが出来ました。
そこで感じたのは、この冊子にあるように、書いてあることを全部ちゃんと理解する。その「読み解く力」の重要性でした。

タブレットも教科書も同じ。まずはちゃんと読むこと。言葉と意味を理解すること

たとえば算数をタブレットで勉強する場合、計算の問題式は紙と違いそれこそエンドレスで作れます。我が子を見るとたしかに計算は早くなりましたし、学習要領よりも先に進みます。
けれどテスト形式になると不正解になっている、間違えているのは「質問の意図がちゃんと分かっていない」箇所でした。不注意といえばそれまでなんですが、たしかに中学受験でも大学受験でもよく「ひっかけ問題」と言われるもの、それはちゃんと読んで理解しているかどうか、が大事だったことを思い出しました。

下村博文政調会長もyoutubeで、この読解力について言及されています。

下村博文衆議院議員も板橋区の教育に言及(下村博文youtubeはこちら)

機械的に出てきた問題を数こなす。それはもちろんとても大事なことです。レジでパッと誰もが間違いなくお釣りを受け渡しできるのも、レジの機械が勝手にやってくれてるから、だけじゃないと思います。
けれど、社会も理科も、また教科関係なく、学びという見方では、設問者は何を求めているのだろう、何を考えて欲しいのだろう。と答える側が考えることはとても重要だと思います。
大学のゼミや論文査読で「なんであの教授はあのことばかり聞いてきたんだ、なんで査読でこのことばかり深く問い詰められたんだ」という議論のポイントこそ、振り返ってみると重要なことだった、という経験をされた方もあるのではないでしょうか。(ちょうど今日は、恩師黒川和美先生の命日でした。)

学習だけじゃない、SNSの短い文の行間を読み解ってあげることの大切さ

Twitterでもなんでも、SNSの世界で「脊髄反射的に相手を叩く・否定する」が多いです。あれ凹みますよね。「それを書いた側がちゃんと意図が伝わる書き方をしていないから悪いんだ!」とこれまた上乗せで叩かれたりしますが、LINEでもなんでも、短いセンテンスのなかに相手が伝えたかった意図をしっかりと読み解く力」はこれからの時代を生きていく上で必須です。

「読み解く力」は、設問をしっかりと読み解くだけではなく、問題を作った人が何を身に付けていて欲しいのか。今後のICTの世界で人の心を文章からどう読み取るのか。私たちが追及すべき価値のある学問は何か。
そんなことにも繋がってくるのだと、感じます。

ぜひ、板橋区の「読み解く力」の学習方法、ご参考にしてみてください。