成増団地、跡地のゆくえ(1)〜経緯と現状〜

都営成増第2アパート、通称”成増団地”。建て替えによって創出された約1.9haの跡地の活用が決まらぬまま、数年が過ぎました。このままでは塩漬けの遊休地になってしまいます。なぜこうなってしまったのでしょうか。

地元議員として交渉や折衝は5年近く続けてきました。現在でも結論はまだ出ていませんが、今、わずかな光明が見えてきたと感じています。その道は、住民発議の声・PFI・そしてSIB(social impact bound)による健康寿命増進プログラムにあります。

(2018年12月の記事を再投稿)

 成増団地は東京都と埼玉県の都県境、板橋区成増5丁目に広がる約1,000世帯の集合住宅です。1960年代に建設された建物の老朽化により10年ほど前から建物の高度化が図られ、現在最後の第4期工事がほぼ終了しました。来年中には除却が終了、合計約1.9haほどの空地が創出されます。

これまでの経緯と現状

この空地の取り扱いについて、都・区・住民の間に、以下のような複雑な状況があります。

1)土地所有者は東京都。東京都建設局が住宅整備を終えた後は、都庁内でニーズが確認され財務局へ所管が移動する見込み。建設局としてはこれ以上の団地建設は考えておらず、跡地活用については担当所管ではなくなるとのこと。一方の財務局にとっては、まだ来てもないものを検討することは適当ではないと。

→都としては、自らの土地の利用方法にいちいち外部組織が口を出すな、というお考えなのかも知れません。そりゃそうです。下の2)で説明しますが、区行政が都庁に足を運んでもなかなか取りつく島もなく、「予定なし・時期未定」との返答ばかりが続いています。加えて、都県境に位置する場所のため、どんな経済効果を測っても都にとっては半分(残る半分は埼玉県へのメリット)の計算になる、のです。

2)板橋区は、建て替えにあたり、この地域に平成19年度に地区計画を設定。「豊かな自然環境と共生するまちづくり」という趣旨で地区計画を設定しており、第一種中高層住居専用地域の上にさらなる規制をかけた。もともとの用途地域で商業店舗の設置が厳しい上に、大学・高専・専門学校も建設が禁止されている。つまり現状で可能なのは、住宅(含マンション)、病院・老人ホーム等医療介護施設、(やり方次第でおそらく公園も可)程度。

→この地区計画決定が自らの首を絞めています。どんな【賑わい創出】の策をしようにも、規制の縛りが強く、ほとんどの施設が作れません。では計画を変えればいい!と言っても、行政としてわずか10年ほど前に決めた条例と地区計画決定を軽々に「今の時代に見合った開発を行う」変更をすることはできません。極めて妥当性に欠くことで、それ相応の理由や青写真、厳しい判断と作業が求められます。用途地域変更権限も、23区でなく東京都にあります。加えて、この地域の公立小中学校はすでに定員の限界に近く、更なる人口流入が進むとパンクしてしまう事態になります(地方都市からすれば贅沢な悩みではありますが)。底地を50億でディベロッパーに売ってマンション作ればいい!ということにはならないのです。

3)地域住民にとっては、高齢化が進む中でバス路線が減少しタクシープールもなくなり、どうしても活気=人の出入りや集客力ある”何か”が必要。日常生活で駅や買い物への距離が遠く、しかも標高差約25mという長い坂の下に位置するため、移動すること自体がご高齢者にとっては億劫になる。

→空地が空地のままでいることが不安であり、なんとかしてほしい、あんなものやこんな施設が来て欲しい、とは思うものの何をどうしていいのか何がどうなっているのかが分からない。こんな状況です。よそ者・若者・バカ者が街を牽引する決め手、とはよく言います。しかし高齢化の進んでいるこの団地で住民が率先して声をあげ行政や民間企業誘致に動くのは至難の技ではないでしょうか。

何も動かなければ、この土地は当分の間塩漬けの遊休地となってしまうでしょう。これは一番避けなければなりません。周辺地域が衰退していく1番の悪手です。

現行の地区計画にのっとった規制の範囲で東京都側に提示できる再整備案とすれば、すぐにスポーツ公園、防災広場等があがるでしょう。しかしこの想像以上に高い規制の壁の、針の隙間を縫って行けるほどの妙案は、出てきていません。

以上のような現状で、行き詰まりの時を迎えている状況です。残された時間はそれほどありません。

この続きは、(2)として住民の健康増進にむけたSIBとPFI、そして国家戦略特区の活用の可能性を次回に記したいと思います。