デジタル改革って、なに?生活はどう変わるの?

菅義偉総理が就任し「デジタル庁」の設置が決まりました。
「IT、SNS、今度はDX?またまた意味の分からない言葉だ…」となった方が多いかも知れません。ここでは、コロナ禍で注目され一気に動き出したこの【デジタル改革】について、地方自治体における状況を中心にご説明します。


目次

  • 新型コロナで起こったこと
  • 総裁選における「デジタル庁の設置」提案
  • デジタル改革が実現するとなにが起こるのか
  • まとめ

新型コロナで起こったこと

新型コロナの蔓延による自粛生活で、いやゆるデジタル関係について大きく三つの物事に変化があったと思います。

1、学校現場にタブレット

2、在宅勤務とテレワーク

3、定額給付金など補助制度の拡大とマイナンバーカード活用

これらを順番に見ていきます。

学校現場にタブレット〜実際は
GIGAスクールという政策で、在宅学習を含め児童生徒にタブレット端末が数年前倒しで大量に配布されることになりました。ですが、
・実際には学校現場にも各家庭にもwifiが完備されているわけではない
・タブレットの配布自体、板橋区では11月に先行の3校、全校へは年明け2月頃になってしまう
・タブレットが配布されても学校の授業内容や宿題が端末に入っているわけではなく、実際の学習の成果となるのはまだまだ先

こんな状況でした。

在宅勤務とテレワーク〜実際は
通勤が抑制され、会社に行かない在宅ワークが広がりました。けれど、
・会社のパソコンがないと仕事ができない
・自宅にはパソコンない
・会社のパソコンは、持ち出せない。かつオンラインでつながっていない
・事務職でなく、そもそも対面業務だ。パソコン使わない
・新規採用なのに一度も会社に出社できず在宅勤務
このようなことも多くありました。

定額給付金など補助制度の拡大とマイナンバー活用〜実際は
・マイナンバーカードをもっていれば早く受給できた?本当?
・補助金が緊急で必要な高齢者ほどオンラインで情報周知できなかった
・カードを新規作成してからの受理は結局役所に行かないとできない
・補助金のオンライン申請をしても地方自治体では、職員が数十人数十日徹夜体制で申請書類(紙)処理作業

でした。

そこで、多くの日本人が気付きました。

『SONYとかsharpとかNECとかあるけれど、日本って世界最先端のIT国家じゃなかったんだ』と。

新型コロナ感染症のデータ分析

お隣の国台湾では、SARSの教訓をもとにICT技術をフル活用して新規の新型コロナ感染者をほぼ抑えています。それを目の当たりにして、日本が遅れている現実を実感したのだと思います。

総裁選における「デジタル庁の設置」提案

実は2年ほど前の2018年頃から、国では今回のデジタルガバメント改革(デジタル庁設置)が、内閣府や経済産業省を中心にずっと議論されてきていました。
それが、新型コロナの蔓延をきっかけにし、
行政・自治体のデジタル化を前倒しして進めていこう
と、菅義偉総理のもとでなったのです。

まず、これまでデジタル改革が叫ばれてはいたものの、早期実現を阻んでいた課題を整理していきました。

1つめは、行政の縦割りです。
サイバーセキュリティ、マイナンバー、個人情報保護、これら行政のデジタル化に重要な案件が、総務省、内閣府、経産省、オリパラ担当、と別々バラバラの省庁と大臣で担当されており、一括した議論と決断がなかなか進みませんでした。

2つめは、法整備です。
台湾や韓国で採った新型コロナ対策は、実際には今の日本では【個人情報の保護】が壁になり、実現できないことが多々あります。
どこで誰といて、どんな行動をとって、いつ感染したのか。このような個人の行動を国が一括して情報を管理することは、緊急時であっても現在の日本では許されません。また国民意識としても「個人情報を監視?される」ことへの漠然とした恐怖感が存在しています。

3つ目は、費用と優先順位です。
デジタル化、ICT化にはどうしても初期投資がかかることがあります。しかし、いざ使い出してみれば「こんなに簡単で便利だったんだ!」となること(例えばインターネットやスマホ)も、初めて触る・導入する時には「私には分からない、私には難しい、私には怖い」となり、予算が通りにくいものです。こんなに便利なのに!と世代間ギャップが発生し、道を阻んでいました。

この3点をまとめて素早く解決すること。
通信技術や人工知能や大量情報を用いるだけでなく、あらゆるところにネットワークを繋げ広げて、社会の非効率を改善していくこと。

それが、このデジタル改革です。

英語で言うと、デジタルトランスフォーメーションです。

ちなみに、 Digital Transformation はなぜ DT でなくて DX ?
trans-formation の trans は、ラテン語で「超える、交わる、横切る」という意味で、同義語が cross (交差する)です。 cross は Xと表現されることがあり、 DX となるんだそうです。
ちょっとこじつけ?と感じますが、深く考えるとキリがないので「まあそのようなものだ」と思うようにしています。


デジタル改革が実現するとなにが起こるのか

DXは単に、社会がぜんぶデジタル化、ICT化、ということではありません。
ただ、『何がどう改善して、社会が前に進む』と説明しにくいのが難しいところです。

以下、具体的にあげてみます。

ペーパーレスと言いますが、全部なくなるわけではありません。紙の方が便利で早い分野へはしっかり活かします。写真機ができても絵画はなくならず、パソコンがあっても鉛筆ノートは必須です。必要な方をより便利に、です。

パソコン使える人間がえらい?そんなことはありません。人間だけができるアートや感受性ややさしさ、思いやり、人間らしさはさらに価値を増します。

いたばしのものづくり、令和ノート

それよりも、行政や企業ビジネスの業務フロー全体の再構築が始まります。つまり『仕事の内容』が変わります。
役所の申請は小学生ができるくらいシンプルになるでしょう。
今月まで行われていた国勢調査をネット回答されていたらわかると思いますが、あんなに大変だった調査がたった10分で終わるようになりました。全国の調査員の方々の作業も激減し負担が減りました。
難しい言い方となってしまいますが、この体制を設えるのが仕事となり、行為を補助することではなくなってきます。

『情報』というものには更なる価値がつきます。これは、AさんBさんあなたの情報、というパーソナルな情報より、「どんな人はどんなことを考えているのか。その人はどこへ行きたがっているのか」など、考えや心の部分だと思っています。
地方議員は必死に地元を回って有権者の現状を聞いてきましたが、もし「行って聞かずとも分かる」ようになったら、始めに実行するのは【お伺い】でなく【解決策】になってきます。

『人の移動』が大きく変わります。家から出ないでAmazonや楽天で買い物をする。ウーバーイーツで夕飯が届く。どんな届け出も役所や税務署に行かなくていい。
こうして時短、安価、簡易化が進むとき、生じてくるのは時間・空間・資産だと思います。

自由な時間が増えて
自由に使えるお金が増えて
自由になる空間が産まれて

もっと人は、自分の好きなこと、やりたいことが出来るようになる。

これが、新しい価値の創造 につながっていくのだと思います。出生率が減っても感染症が蔓延しても、物事に新たな付加価値をのせていくことで社会は前に進みます。


まとめ

この社会をあと5年以内に実現させる。
そう宣言した、菅義偉首相です。
実現をお約束することの前に、まずはこの全体像を皆さんにお伝えし理解してもらうのが私たち議員や政治の仕事と思います。
『なに?どう変わるの?分かんないや、難しくて』のままでは、これまでのデジタル政策とまったく同じになってしまいますから。